定期点検はお客様の愛車を“安全に、快適に”ご使用頂くためにも非常に重要なものです。
今回は、当店で行なわれている通常の点検に、“シビアコンディション”を追加したメニューを御紹介いたします。“シビアコンディション”とは、通常の点検箇所はもちろんですが、それ以外の当店が考える重要な部分の消耗箇所を分解点検し、予防整備を行なう点検時の追加メニューです。すでに当店でこのメニューを受けて頂いているお客様にも、もっとわかり易く点検整備の中身を知っていただくため、写真を掲載したり工夫いたしましたので、作業でお待ち頂いている間にでもどうぞご覧ください。
今回は定期点検でご来店いただいたお客様のSR400を例に当店独自の点検メニューをご紹介いたします。
まず車両の御入庫です、担当メカニックがお客様の車両を一通り外から確認します。オイル漏れやタイヤの磨耗など、外見で確認できるものはこの時点で作業見積もりにいれてしまいます。
次に当店のパソコンデータに残っている過去の整備履歴を確認し、オイルやクーラントなど油脂類の交換時期がきていないかをチェック、分解しないと確認できないものは走行距離等で判断し、その部品の交換の可能性をあらかじめお伝えします。その他、乗られていて気になるところがないかお客様に確認しておきます。
さっそく作業に取り掛かります、まずはバッテリーの取り外し、充電となります。
最近のバイクのバッテリーはMF(メンテナンスフリー)タイプですので、そのまま充電器にかけます。開放型の普通バッテリーは必要であれば液の補充を行います。SRはキック始動のみなので意外と小さいですが、バッテリーがあがると非常に始動がし辛らくなってしまいます。
さて、次はフロント足回りの作業に移ります。この車輌は比較的走行距離は少なめですが、年数が経過し距離も多く走っている車輌の場合はスポークが緩んでいたりホイールのベアリングが磨耗しガタがでているものも少なくありません、放置して乗り続けるとスポークがチューブを傷つけパンクの原因になったり、ベアリングがバラバラになりホイールが左右に“グラグラ”動いてしまい非常に危険です、この作業ではホイールを取り外し、指で直接ベアリングの動きを確認します。ベアリングが問題無ければオイルシールの汚れをキレイに拭き取り、新しいグリスをたっぷり塗り込んでフロントホイールを取り付けます。もちろんアクスルシャフトもキレイにして新しいグリスを塗って差し込みます。
ホイールを取り付ければスポークの増し締めです。一本ずつ全周にわたって均等に締めていきます。2、3周ほどすればしっかり締まってきました、この部分は定期的に増し締めしておかないとスポーク折れの原因になります。スポークの交換は意外と高額修理になります、こういった未然に防げる修理はできるだけ避けたいものです。
次にエアクリーナの点検です。エアクリーナはエンジンが吸い込む空気と一緒に入ってくるゴミを濾し取るフィルターです、汚れ具合は走行環境によって様々です。あまり距離を走っていなくても、走行状況によっては意外と汚れていることもあります。SR400のエアクリーナは湿式ですので、洗い油で洗浄し、キレイにします。
キレイになったエアクリーナはオイルを適量染み込ませて元通り取り付けますが、この時にエアクリーナボックス内もキレイに拭き取っておきます。ブローバイホース(クランクケース内の吹き抜けガスを還元する浄化装置)からのオイルの吹き返しとゴミが混ざり“ドロドロ”になっていることもあるのです。ちなみにこのタイプのエアクリーナでもある程度の時間が経過してくるとスポンジが劣化してくるので、痛むまえに交換してあげないといけません、痛んだまま使用し続けるとスポンジがバラバラになってエンジン内に吸い込まれてしまいます、想像するだけで“ゾッ”としてしまいます。
次はスパークプラグの点検をします。よく耳にする部品ですが、スパークプラグは非常に大事な仕事をしているのです。排気量にもよりますが一般的にバイクのエンジンの常用回転数は、車の約2倍以上回っていると言われています。だから車と比べてそれだけ点火する回数が多いですし、温度的にもかなり酷使されています。そのためオートバイのスパークプラグは3000Km〜5000Kmで交換時期がやってきます、早いと思われるかもしれませんが、電極が磨耗し汚れの溜まったスパークプラグを使い続けると、始動性の悪化や燃費の悪化、加速性能の低下などの原因になります。純正スパークプラグの部品代自体は、一本数百円ですので点検ついでに交換してしまうことをお勧めします。ちなみに今回は前回交換から約4000Kmです、もちろん交換して頂きました。写真右側の黒く色の付いている方が約4000Km使用後のスパークプラグですが、一目で汚れが確認できますね。また、この焼け方で異常な燃焼をしていないかも点検できるのですが、キレイな焼け具合で問題は無さそうです。
次は、後輪の足周りの点検整備に移ります。大まかにはチェーン、スプロケット、ダンパ、ホイールベアリング、リアドラムブレーキの点検整備です。まずリアホイールを外します。すると、大量の黒い粉がドラム内から出現しました、そうです、これがブレーキダストです。ディスクブレーキはパッドとディスクが露出しているのでダストはそこら中に散っていきますがドラムブレーキはほぼ密閉されていますのでダストの大半がブレーキ内に取り残されてしまいます。
ブレーキシューやカムにたくさんの黒いブレーキダストがこびり付いています、このまま掃除せずに使用を続けるとブレーキ鳴き、タッチの悪化、制動力の低下の原因に、またカムの隙間に入り込み、ブレーキ操作が重くなる原因にもなってしまいます。今回はブレーキシューライニングの磨耗具合に問題は無かったので、丁寧にクリーニングを行います。
いかがでしょうか?キレイになりました。表面はサンドペーパーでならし脱脂洗浄剤で油分を除去します。角は面取りをして鳴き止め、当たりを良くします。これだけではありません、シューを動かすカムもキレイにしグリスアップします。汚れがひどくこびり付いていた場合ペダルを踏み込むだけで体感できるほど動きがよくなることもあります。
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